現職地方女性議員の「選挙と妊娠」#5

こんにちは!

台東区議会議員の本目(ほんめ)さよです。「届きづらい女性の声を政治につなぎ、一つずつ実現していく」ことをミッションとした団体・WOMAN SHIFTの代表も務めております。

「選挙と妊娠」について、選挙3ヶ月前に第二子を出産した私と選挙2ヶ月前に双子を出産したうすいさんの経験をリアルタイムで記録に残している本企画。

今回は2023年1月、本目が予定日を過ぎ、うすいさんが妊娠8ヶ月の頃の記録をお届けします。

出産直前で身体もなかなか思い通りに動かない中で仕事はどうしているのか?また産後のスケジュールの見通しなどについて話し合いました。

■2023年1月の記録(本目 予定日を過ぎた頃、うすいさん 妊娠8ヶ月)

―(インターン)今回もよろしくお願いいたします。本目さんはもう予定日を過ぎているんですよね。まずお二人の今の状況についてお話を伺えたら幸いです。

(本目)私は昨日が予定日で、今日妊婦検診に行ってきたところです。 陣痛っぽいのが夜寝ている間に来ていて、10分間隔が1時間半ぐらい続いたので、後30分ぐらい待っても続いたら病院に行こうと思ってたら収まっちゃって。
で、さっき病院に行ったら「子宮口が1cmしか開いてませんね」と言われて、あの痛さはなんだったの?となっているところです。

(うすい)私の方は8ヶ月で、31週と5日目かな? 帝王切開の日がもう決まったので、あと1ヶ月ちょっとです。 でももうお腹がはち切れるんじゃないかって思うぐらい大きくて、会う人会う人に「臨月ですか?」と聞かれています。腹囲も100cmを超えて体重もびっくりするぐらい増えて、毎日フーフー言いながら過ごしています。

(本目)何週で帝王切開予定?

(うすい)37週です。

 

―オンラインでも息が切れてる感じが伝わってくるんですけど、座ってても辛いというか圧迫される感じですか?

(うすい)そうですね。座っててもお腹に重いボールずっと乗せてる感じがあって、しゃべるとすぐ息が切れちゃいます…

 

―お二人ともいよいよ体調もお辛いフェーズではあると思うのですが、お仕事はどんな感じですか?

(本目)私はさすがに1月入ってからの仕事はほぼ入れてなくって、急遽連絡があった時はオンラインでちょっとお話ししたり、メールでの問い合わせには返答したりしているぐらいです。
外部の賀詞交換会などには出ていないのと、 成人式も行きたかったと思いつつ、予定日と重なってたこともあって出席できずでした。

 

―うすいさんは今お仕事を北海道からリモートでされてると思うんですが、どういう感じですか?

(うすい)先月までは北海道にたまたま来ていた方や自分の政策の柱であるLGBTQに関して学生さんから直接話をということがあったのでお会いしたり、オンラインでの相談も受けたりしていました。その時から既にお腹が重くて動きづらかったんですけど、さすがに年末ぐらいから鼻炎もひどくて頭が全然働かなくなって…今日も耳鼻科に行く予定なんですが、寝る時も鼻づまりとお腹が重すぎて、細切れでしか睡眠が取れていません。

なので1月は緊急以外の要件には対応することができず、さよさんと同じく賀詞交換会も全然行けてないです。「こういう予定を入れてほしいです」という連絡にも、事情をお話して後にできそうだったらずらしていただいたりしています。ただ緊急性がある案件は、やっぱり対応したいので、電話で対応しています。オンラインもこちらが画面を映すとなると映り方が気になったりして…

(本目)相手にお知らせはしてない?

(うすい)お知らせしてても、結構対応って人によって違ったりとか、あと長引いちゃう時もどうしてもあって… 12月後半くらいから電話で楽な体勢になりながら話を聞いていました。

(本目)なるほど。以前場づくりのコンサルを受けたことがあってその時に学んだのが「あらかじめ相手に『これをしてください、会議の前日の夜までにこれをメールで送ってください』と相手に伝えておきましょう」ということだったんです。今回その人にお願いしたいことと、今回私に望んでいること、打ち合わせが終わった時に、どう終わっていたら理想ですか?というのを明確にする、という感じです。

そうすると相談してくださる方の目的や意図がはっきりして、打ち合わせのゴールが明確になるので、お互いに納得感を持って短い時間で打ち合わせが終わるようになりました。

 

メールやSlackって携帯で見れるのでどうしてもオンとオフの切り替えが難しいと思うのですが、産後の仕事のやり方としても「ちゃんと休む」というよりは、ある程度はメッセージをちょこちょこ確認する、という形になりそうですか?

(本目)基本的にはメールで、緊急性が高そうですぐに対応しした方が良さそうな案件は音声入力とかも使いつつ、最低限のやり取りはしたいと思ってます。あとはどうしても対応が難しそうというのがあれば、同じ会派の人にお願いしようかなとも考えてます。
メールもSlackもおそらくチェックはします。だけど、優先順位を自分の中で決めて対応っていう感じかな。

 

議会は、今ってYouTubeで視聴とかできるんですよね?そういうのも取り入れつつ?

(本目)そうですね。耳だけでいいので、聞いとこうかなみたいな感じです。やはり最新の情報はキャッチアップしておきたいので。

(うすい)北区は悲しいことに、youtubeチャンネルはあるのに議会の様子は掲載されていなくて、なおかつ本会議の質問のみ、しかも4年前は翌日だったのが最近では1週間くらい後になってアップロードされる感じなんです。再質問も答弁のやり取りも、委員会も視聴できないので、すぐ情報を取れないんですよね。

よっぽどのことがあれば、課長さんに連絡したりとか、会派の先輩に私の政策関連系の要点を送ってもらったりはしようと思ってるのですが、生のやり取りは全然確認できないのは悩ましく、悲しいなって思ってます。 

(本目)中継してないんだ。資料は、タブレットの導入はしてます?

(うすい)タブレットはようやく、次の時に導入になるという感じです。

(本目)では今は資料は基本、紙で配られる? 

(うすい)紙でもらうか、北区議会資料検索システムの「ディスカス キャビネット」にアクセスしてデータで確認するという感じです。

(本目)じゃあ今北海道にいたとしても、規定の時間にそのキャビネットにアクセスすれば、資料を見られる?

(うすい)資料だけは見られます。ただどんな内容の話がどういう風に展開されるのかはわからないのですが…

(本目)なるほど、でも資料すら見られないよりは良いですね。台東区も12年前は紙だけで、しかも前日の12時に机の上に配られる形でした。その時に産休だったら、資料も見れなかったので相当キャッチアップが難しかっただろうなと…なので今は資料もネットで見られるし、中継も見られるのはありがたいです。

 

―議員さんだけではなく、区民の中でも、例えばお子さんを育てている方など傍聴には行けないけど、リアルタイムで議会の様子が知りたい事ってあると思うんです。
区民にとっても議員の方にとっても、 ダイバーシティに対応した形が取れるといいですよね。

(うすい)そうですよね。本当におっしゃる通りで。

 

産後のスケジュールについても見通しを教えてください。帝王切開だと体のダメージもすごく大きいとは思うのですが、産後だいたいどれぐらいで、活動を始めていくみたいな見通しはありますか?

(うすい)私は本当は産後1ヶ月ぐらいで、東京に戻りたいと思ってたんですけど、病院の先生や看護師さんたちからも「それはもう産んでから相談しようね」って諭されてる状態です。

でも、選挙があるので「4月のこの1週間だけは外せない」と話してはいるのですが。仕事のことははっきりとは伝えてないので、先生には「なんでこの子そんなに急いでるんだろう」って思われてると思うんですけど…で、そうしたら「わかった。じゃあそこは絶対ね。でもその手前で東京に戻るのはちょっと考えようね」みたいな感じでは言われています。

(本目)まだ言ってないんだ?

(うすい)そうなんです。なんとなく自営業みたいな感じでは話してるのですが。
今の関連なんですけど、いつも仕事のことをどこまで伝えていいのかなっていうのは悩むんですよね。 例えば、家を借りる時とかもそうだったんですけど。みんなどうやってるんだろうっていつも思っていて。

(本目)若干、悩みはしたんですけども。自営とかフリーランス的な言い方もありますし、議員の中ではみんな悩んでるところですよね。
言っちゃうと言っちゃうで、弱音吐けない感じはしてて。例えば出産のときも「痛いよー」って泣けない、みたいな。

(うすい)そうですよね。私も職業のバイアスをかけられるのがしんどいかもと思っちゃって…。

(本目)話を産後の仕事の見通しに戻すと、本当にどうなるんだろう。ドキドキですね。体の回復がどうかっていうのもあるし。議会もですし、選挙に向けての準備も始めたいのですが。

先月もお話しましたが、23区内でも2人現職議員が直近で産んでるんですよね。12月〜お正月ぐらいに産んでて。でも賀詞交換会とかも普通に出ているので、産後の休暇取ってないのかな?と驚いています。
でも私は産後さすがに6週は休みたいな、と思って。監査とかはオンラインで参加しようとは思ってるんですが、他の人の事例を見るとちょっとドキドキしちゃいますね。

(うすい)しますよね。本当に焦るし、

 

その方たちは妊娠中は特に公表しなくて、「出産しました」だけ公表されてる感じなんですか?

(本目)一人ずつ違いましたね。 一人は出産してからで、もう一人は、お腹が大きい写真で公務をしている姿をアップされたりもしていましたね。

(うすい)そうですよね。結構公表してる人増えたな〜と思いません? 23区外の自治体の新人さんも、 生まれた報告をしていた気がするんですよね。他にもちらほらそういった投稿を見て、みなさんオープンにしてるんだなと思ったり。

(本目)産んだ後にはやっぱり投稿していることが多いかな。 産む前に投稿するかどうかは、その人のスタンスにもよる気がします。出産に対する考え方と、リスクを含めての考え方、あとはどこまで発信するかの線引きみたいなところで、みんな決めてるんじゃないかなと。

議員が妊娠出産して休むことに対する批判とかもあったりはするのと、私個人的には「そもそも無事に生まれるんだろうか」という点もやっぱり不安なので。
発信して全世界に広く知らしめてから、 何かが起こってしまうというのは個人的にはきついなと思って…でもレポートを郵送してる人には「年明けには出産予定です」というのだけは送りました。

(うすい)そうなんですね 

(本目)今月も今の状況と仕事の環境と、これからどうするかみたいなところは話せましたね。

次回は、私は産んでいるはず。なので、そこでどういう風に状況が変わったとか、 選挙の準備とかについてお話できたらいいなと思います。

―いよいよなのでドキドキしますね!お二人ともありがとうございました。

■次回予告

以上が2023年1月、本目が予定日を過ぎ、うすいさんが妊娠8ヶ月の頃の記録となります。

次回は2023年2月、出産を終えたばかりの2人の様子をお伝えします。

聞き手:小林美保(本目さよ事務所インターン)
編集:平理沙子(WOMAN SHIFTプロボノメンバー)

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